(旧姓 谷口)1978年生 ● 王子シューレ ● ダンサー ● 不登校=小4〜 ● シューレ在籍=中2〜中3
「自分のまま」を認めてくれた、その場所がシューレ
シューレは母親が探してきてくれました。小学校で2度の転校、友達ともうまくいっていなかった4年生の時に担任も変わり、学校にいる時間は基本的に気が休まることがなく、気持ちがいつも不安定になり学校を休み始めました。
小6から中2までイギリスで過ごし、帰国してすぐにシューレに入りました。
シューレに入って一番衝撃的だったのは、子どもが子どもの時間を決めていいということ。自分たちのことを自分たちで決めていいことにすごくびっくりしました。同年代の人たちのことを初めてすごいなと思った。
今まで外国ではそういう体験もしていたけど、日本ではそんな場面がなくって。お互いが自分の言いたいことを、主張し合い、それが認められる場面に初めて出合い、とても衝撃でした。
その当時、家でも急に自分の主張を始めたので、母親が私の変わりようにびっくりしていたことも憶えています。
言いたいことが言える場があることはすごく大事。それが受け入れられ、自分はそのままでいいことを認めてくれた場がシューレです。
シューレにいる時も、すごく自分を飾ってたと思うし、良く見せたいと思っていた部分もあったけど、シューレに居させてもらうことで自分でいいんだと思えた。そのことが今の自分につながっていると思います。
同じような価値観の人に巡り合えている
今自分が親になり、親の勝手でいろいろ決めちゃいけないな、子どもを尊重しなくちゃなと思いながら接しています。
大人の立場になり、場所をわきまえたり、言いたいことだけを言っている立場ではなくなったけど、子どもの時にそういう経験ができたことは良かったことです。それがなかったら、きっと今、つながっている人たちとは出会えなかったとも思うのです。
自分を出しているとそういう人たちが不思議と周りに集まってくる。学校に対しても社会に対しても同じように感じたり、同じような価値観をもっている人と巡り合えています。シューレ以外にもそういう人がいるのはうれしいことです。
今、シューレを出た後でも、いろんな場でいろんな人に支えられている。その出会いから、新たに自分自身を知ることができたり、いろんな自分が出てくると実感しています。そういう意味でつながれた人たちに感謝しています。
毎日違う自分を受け入れてその自分と付き合っていく
今はダンサーとしてイベントに出演したり、教室で教えたり、ワークショップを開いたりして、やりたいことをやっています。
自分というのは、体も心も毎日同じとは全く思いません。同じ曲でも同じ踊りが毎日できるわけではありません。そんなことに気づけることが、ダンスを選んでよかったなあと思うところです。その日、その場のいろんな状況で自分が変わっていく、その意味でライブが好きです。毎日違う、その日の自分とつき合っていくのが心地よいです。
病気なんかも治すというよりも、毎日違うんだから、どの状態がいい状態なのか、治った状態なのかを考えるよりも、その日の自分とつき合い自分を受け入れていく感覚の中で過ごすと、楽になっているように感じます。治すという考え方よりも、その日の自分とつき合っていく。毎日違うんだからどれが治った状態なんだか、治すってどういうことなのかと考えてしまうのです。
ダンスはコミュニケーションです。音楽は無条件になんらかの形でコミュニケーションを取ることができるんですね。
たとえば福祉施設に行くと、「そんなに喜びを表現してくれるの!」ってびっくりするくらい感情をそのまま表現し反応してくれる時があります。
結婚や出産など生活の変化もあったけど、ダンスを辞めようと思ったことはありません。好きなことをできることはありがたいし、好きなものに出会えてものすごく幸せだと思っています。好きな仕事に関しては大変なことはないんですね。踊れなくなったら死んじゃうかも(笑)。