1984年生 ● ホームシューレ ● ケアワーカー ● 不登校=6歳(小1)〜 ● シューレ在籍=14歳(中2)〜25歳
学校に行かなくても大丈夫と思えた
小1の時、メガネをかけているのが学年で僕一人で、珍しがられたり、からかわれたのがすごく嫌だったのを覚えてます。それもあったのか、だんだん学校に行かなくなりました。
ホームシューレに入って、学校に行ってない人は自分だけじゃないと知って安心しました。年長の会員のしっかりした文章を読んだりして、面白い人達ばかりだし、学校に行かなくても大丈夫、行かないことは悪いことじゃないんだなと思えました。
会員と『ばる〜ん』誌上で交流するようになって、より楽しくなり、合宿にも参加し会員やスタッフと実際に会ったり、『ばる〜ん』の編集会議に顔を出したりしているうちに、スタッフに「ホームシューレの仕事の手伝いをしてみないか」と声をかけてもらい、ボラバイトを始めました。パソコンで『ばる〜ん』のコーナーをレイアウトしたり、サロンや合宿で子どもと遊んだりしました。
大学生に混じって就職試験を受ける
その生活には満足していましたが、この先どうやって生きていくのか、漠然とした不安はありました。でも、ボラバイトの経験で、仕事に対する怖さが薄れたと思います。スタッフも、「他でもやっていけるよ」と励ましてくれました。
それで、そろそろ本格的に仕事のことを考えようと思い、スタッフに相談に乗ってもらい、生協の就職説明会に「他の大学生と一緒で良ければ」ということで参加させてもらうことになりました。
スーツを着て緊張しながら行ってみたら、周りは年下ばかりで、自分が一番落ち着いていたんじゃないかと思います。
後で人事の方から聞いたんですが、一番前の席で、相手の目を見てうなずきながら真剣に聞いて、質問もして、ということで、僕一人だけ雰囲気が違って、印象が良かったらしいです。その後入社試験を受けて合格し、働き始めました。
人と接する仕事がやりたかった
最初は配達の仕事で、毎週品物を組合員さんの家に届けていました。もともと人と接する仕事がやりたいと思っていたので、充実感がありました。
学校に行かなくなってから、人との関わりに飢えていたところがあるんですが、だからこそ人との関わりを大切にしたいと思うようになったと思います。
生協で配達を4年間した後、現在はその生協のグループ内の社会福祉法人でケアワーカー(介護スタッフ)として働いています。生協の仕事も楽しかったのですが、研修でグループ内の介護施設を見学した時に介護の仕事に興味を持ち、自分から異動の希望を出しました。
働いているのはショートステイと呼ばれる所で、基本は在宅の方が短期間入所し介護サービスを受けるという施設です。利用者には認知症の方もいますし、オムツ交換などの排泄の介助もあります。夜勤もあるので大変な仕事ではありますが、高齢者と関わるのは自分には向いているようで、やりがいもあり楽しく働いています。
介護の仕事は3年目、就職してからは7年目になります。早く結婚して家庭を持ちたいと考えていましたが、結婚はまだしていません(笑)。まあ焦らずのんびりやっていこうかと思っています。
多様な生き方を支援する仕事
ホームエデュケーションで育ってきて、学校に行っていれば良かったと思うことは全然ないです。
僕は学校の勉強はほとんどしていませんが、仕事をする上で支障は感じません。仕事で必要な知識は仕事で学べます。合わない学校に無理して行かないで、家でのびのび過ごせたのは僕にとってとても良かったと思います。
そして、学校に行かなかったことでシューレと出会い、世の中には多様な生き方があるんだと知れたことは、多様な生き方を支援する福祉の仕事にとても役に立っていると感じています。
子どももお年寄りも、いろんな人がいます。それを受け入れて、支援する。僕はフリースクールのスタッフをしたことはありませんが、きっと似たような感覚なのではないかと最近思います。