1994年生 ● 王子→葛飾シューレ ● 大学生 ● 不登校=小2〜 ● シューレ在籍=小4〜15歳
シューレを見つけてきたのは母親でした
当時の僕は“学校に行かない自分”について驚くほど無関心で、不登校である事について悩んだり疑問に思ったりする事はほとんどありませんでした。ただ、とにかく家に居る時間が多く、退屈でどこか満足のいかない毎日に日々悶々としていた気がします。
高校生になって母親に聞いた話だと、父方の祖母や母方の祖父などがいろいろ気を揉んでくれたようで、祖母は「いかに不登校を治すか」みたいな講演会に顔をだしたり、祖父は元教師である事も手伝ってか「勉強を教えてやろうか」と母親に提案してくれたそうです。
僕は当時自分以外の人間には本当に無頓着で、周りの人がどういう反応をしたかほとんど憶えてません。
しかし、母親がずいぶん僕のために手を尽くしてくれたのは憶えています。地域の子ども専門のカウンセリングみたいなところに連れて行ってもらった事もありましたし、シューレを見つけてきたのも母親でした。僕は家に居る時、基本的に退屈で不機嫌だったので、母親は何とかしようと考えてくれました。
初めて王子シューレに見学へ行ったのは小学2年生位の時でした。見学ではいろいろな人が遊び相手になってくれてそれはそれは最高に楽しかったのですが、当時僕はうるさいクソガキで、ピアノを弾いていた子の前でギャンギャン騒いでいたらその子に怒鳴られてしまい、それがもうとても怖くて母親に「もう行かん」と言いました。
「人生イヤなこともある」という当たり前の事実を受け入れてみたら
しかし、小学4年生くらいの時に母親が再び「もう1回シューレを見てみよう」と提案してくれ、その頃には「あぁ、親に気を揉ませて申し訳ないなあ」位は考えられるようになっていたので、またイヤな思いをしたら嫌だなぁと思いつつも見学に行きました。
この時も最初の数日は最高に楽しかったのですが、今度はすごいイヤな奴が現れて「こりゃもう行きたくないな」と思いました。しかし「いや、そんなんじゃ今までと何も変わらないぞ」と考えたのをよく憶えています。イヤな奴が居てもとりあえず行ってみよう、ともう何日か行ってみて「イヤな事もあるけど楽しい事の方が多いな」と感じたので、王子シューレに入会しました。
先程の話と関連しますが、「人生イヤな事もある」という当たり前の事実を受け入れるようになりました。イヤな事があったら「まぁこういう事もあるだろ」と思うことでスルーする技術を身に付け、イヤな事があったからって立ち止まっていたら楽しい事もつかめないぞ、というふうに考える様になりました。
今大学で学んでいること
物理学という全くお金にもならなければ、女の子にもモテない学問を専攻しています。
中学時代は勉強していればモテると真剣に信じていたので、最初はモテたいがために勉強してました。
しかし、高校に入って先生や友達と数学、物理学を一緒にする時間が急激に増え、この時間が最高に楽しくて「将来数学か物理学でメシ食えたらいいなあ」と漠然と思うようになり、理学部がある大学へ。
入学後数学か物理学どちらを専攻するか悩んだのですが、自然現象として実際に見たり感じたりする事ができる物理学の方が魅力的だったので、物理学を専攻する事にしました。
これまでを振り返り不登校とは
不登校経験に関してはまるで幼少期の経験の様にどこかおぼろげで、「まあそんな事もあったな」という感じになっています。
当時学校に行かない自分に疑問を覚えたこともあまりなかったですし、今でも僕にとって不登校経験とは異質だったり特別な経験という実感はありません(どうやら世間一般的には異質で特別な経験らしいですが)。子どもの頃にした様々な経験の内の一つとして自分の中に溶け込んでなじみきった感じがします。
シューレで過ごしていた時期は世界が自分中心に回っていた気がします!