1995年生 ● 新宿シューレ ● 大学生 ● 不登校=中1〜 ● シューレ在籍=中2〜18歳
必死でがんばった中1、起きられず
僕は中1末から不登校しました。入学後入ったサッカーと勉強の両立がすごく大変で、がんばるしかない日々が続くんです。毎日部活があり、その上週2で塾に行っていました。部活の練習も半端じゃなくって、やめたくなったがやめられない。必死でがんばっていたけど、中1の末頃、起きられないし、どうしても行けなくなっちゃったんです。
親は、たたき起こして行かそうとしましたが、しまいにはあきらめて、仕事に行っちゃいます。こっちもほっとする。でも夕方帰ってくるとゲームばかりしている僕にイライラしたり、怒るのでケンカになったりしていました。
父は仕事が大変で、俺のことどころではないようすで、母もこのままでいいのか、と不安だったんだと思います。
母はシューレ中に入った人と知り合いで、フリースクールがある事が分かり、最初はイヤだったけど、親が行け行けとうるさいし、ケンカもイヤだったので、家に近い新宿シューレに行きました。
行って、日中からゲームをやっている子を初めて見て、びっくりしました。入会してからは、友達とサッカーやったり、話したりするのが好きでした。二歳上の仲間に誘われて、フリースクールの実行委員会を一緒にやり、達成感がありました。つくるのが面白く感じ、25周年祭の実行委員会に入り、エンディングを企画し好評でした。
ドラムを始めたのは中3で、友達に誘われたのですがやり出すと楽しく、スタジオを借りてもやり、はまりました。
高等部になり、楽器を買うためバイトもしました。マクドナルドですが、始めは掃除で、だんだん調理もするようになり、いろいろ経験できて良かったです。
次の年2012年には、北海道の牧場で1ヶ月以上働きました。ちょうど北海道で不登校の夏の全国大会があり、終了後、皆が東京へ戻る中、一人で列車を乗り継いで東北海道へ向かいました。
牛舎へ行って、朝3時に起き8時半まで搾乳をし、宿舎に戻って昼食、休憩のあと、3時から7時までと、1日2回労働します。給料も出ますが、食費と宿泊費で大体消えます。でも、自然のままで涼しいし、宿が旅の人々が途中で寄ったりする所で、いろいろな人と話せて楽しかったです。この頃は悩みの多い時期でした。一人で向き合い、肉体もほどよく疲れ、快眠で食事もおいしく感じ、牧場で働いてよかったです。
9月東京へ戻り、4月からは河合塾コスモに入り勉強し始めました。音楽系の専門学校へ通うために高認取ろうか、大学行った方がいいかと迷っていましたが、自分が何をしようか見つけるために大学へ行こうと思ったからです。
人生で大事なのは「楽しい」ということ
コスモでは勉強が最初は大変でしたが、4月から始めて8月には高認全科目合格しました。9月から大学受験のための勉強をし始めますが、面白い授業をする先生が多く、数式から哲学が見えたり、英語なんだけど“生き方”科みたいだったり。中でも、物理は面白いと思ったんです。自然から法則を見つけて、きれいにまとまって、すごいと感動しました。それも理学部に進むことにつながりました。
受験勉強というと暗記のイメージですが、全くそうではなく、自発的に夜9時まで自習室にいるほど、勉強する事が楽しかった。そしてこの4月、無事希望する大学に入学、まだ2週間しか経っていないのですが、大学の勉強もとても面白いです。
シューレに行って良かったのは、いろいろな人と話せる経験を積めたことで、人から影響を受けつつ、人とつながりながらやりたいことをやっていける自分がいます。
人生で大事なのは「楽しい」という事です。人間楽しいならどんどんやる。それに引っ張られてやっていくものです。そういえば「生きるために仕事をする人と楽しいから仕事をする人がいる」と教えてくれた人もコスモの英語の先生でした。僕は、楽しいからやっているという人になりたい、と思ってます。